庭のスギゴケが枯れてしまうので原因と対策を考え、自分で貼り替えをしてみた

約1年半前、造園業者さんに依頼し、中庭にスギゴケを貼ってもらいました。

わーい、坪庭だ。

と喜んだのも束の間、なぜか上手く育ちません。

苔が倒れて枯れてしまう倒伏枯死という、茎が倒れて枯れてしまう現象が起きてしまいます。

スギゴケが倒れてきて、新芽も成長していない

本日現在まで、何度か貼り直しを行ってもらったものの、結果は同じです。

環境が苔に合っていないと諦めてしまえば簡単なのですが、何とか上手く育つ方法がないものかと考えていました。

そんなわけで、自宅の苔が枯れてしまう原因の考察を行い、自分でウマスギゴケの貼り替えを行ってみました。

備忘録も兼ね、ここに記しておきたいと思います。

枯れるのは家の環境(日当たり)の問題?

まず、家の環境の問題です。

苔を貼りたい場所は、中庭です。

そのため、四方が囲まれており、軒もあるため日が入りにくいです。

スギゴケは、基本的に好日性(~明るい日陰)とされていて、日照がある方が育ちやすいと言われています。

ただ、日の入りにくい日陰でもスギゴケは育ちます。

具体的には、日照のある場所と日陰では色が少し違います。日陰で育つスギゴケの方が、やや色が濃く、茎が細い傾向にあります。

そして、自宅の中庭も軒があって日が入りにくいとはいえ、日中は日も入り、それなりに明るいです。

そういったことから、枯れる原因は日当たりの問題だけではないと考えました。

ただし、日当たりも少しは影響していると思います。

なぜなら中庭とは別の、日当たりの良好な庭では順調に育っているからです。

中庭の枯れかけていた苔を外にダメ元で貼ったのですが、かなり復活してきています

しかし、そんなことで諦めきれません。

他の原因を取り除き、それでも育たないのであれば日当たりの問題と結論付けましょう。

ということで、他の原因も考えてみます。

スギゴケが上手く育たない原因・考察

ということで、日当たり以外の問題点を考えていきたいと思います。

主に以下4つが原因として考えられるのではないかと思われます。

苔の知識不足

確実な原因の1つは、僕の単純なスギゴケに対する知識不足です。

苔を貼った当初は、

苔なんてその辺に生えているんだし、育てるのも難しくないでしょ。

とかなり楽観視していました。

水やりも、夏など暑い時期は1日2回程、それ以外は1日1回程度が目安と業者さんに言われていたので、なんとなくその通りにしていました。

この“なんとなく”という、根拠がないままに育てていたことに一番の原因があります。

スギゴケの生態とはどういった特徴があるのか?

枯れたスギゴケの仮根(かこん)はどうなっているか?

施工はどのように行われていたのか?

適切な水の量は?

そういった様々な知識をもった上で、しっかり観察を行う必要があります。

そんな当たり前のことが抜け落ちていました。

苗の状態がよくない

他の原因として、納品された苔の状態があまり良くなかった可能性が考えられます。

苔は仮根(かこん)と呼ばれる、根のように植物体を地上に固着させることで、自分の体を支えます。

しかし、業者によってはこの仮根を刈り取った状態で出荷します。

仮根が刈り取られた苗では、よほど貼り付ける環境条件が良くないと育ちにくいです。

そのため、苗の納品業者を選定する必要があると考えました。

基盤土の問題

スギゴケは、本来水田のような土によく繁殖します。

しかし、中庭にはスギゴケの他にモミジや下草類などが植えられています。

スギゴケにとっては水田が適切でも、他の植物にとって良い環境ではありません。

というか、家の庭にそんなベチャベチャな土を敷けるはずがありません。笑

そこで、基盤となる土壌はそういったバランスを考える必要があります。

一般的には、スギゴケには黒ボク土や赤玉土が良いとされています。

我が家の中庭の基盤土は、現状、上から赤土、真砂土、改良土壌の層となっています。

画像のように、苔苗(スギゴケ)の下には赤土が敷いてあり、悪くない条件です。

ただ、実際に掘り返してみると苗の下に敷いている赤土の層が非常に薄いです。

赤土の層がかなり薄いことがわかります

そのため、仮根と基盤土の圧着がしづらいのではないかという可能性も出てきました。

また、さらにその下は真砂土となっており、排水性が良いため、水分が抜けやすくなります。

こういったことから、苔の乾燥が進みやすく、枯れの一因となる可能性もあります。

一方で、排水性が悪いと土が固くなりやすく、それはそれで新芽が上手く育ちません。

また、中庭なので雨などが溜まるといけないため、ある程度の排水性は確保する必要もあります。

この辺りのバランスを考えつつ、最適な基盤土にしていく必要がありそうです。

移植時の圧着不足

もう1つ原因として考えられることが、施工の問題です。

基盤土に苗のシートを並べ、軽く抑えるという施工方法で、苗と基盤土の圧着が不十分だった可能性もあります。

これは抑えるのが不十分というよりは、前述の赤土の層が薄かったことに起因しているかもしれません。

こういった原因が可能性として考えられました。

そのため、貼り替えの際にはこれらの問題を考慮しつつ貼り替えていきたいと思います。

苔を貼り替える前の準備

実際にウマスギゴケを貼り替えていきます。

その前に、資材や必要な道具を準備します。

今回は、苔の苗を貼り付ける「貼り苔」という方法と、苔の種を播く「播苔」という方法を併せて行います。

そうすることで、移植した苔苗と播いた苔種のどちらかが成長してくれれば良いので、確率が高まります。

準備する資材

準備に必要な資材とその際の注意点をまとめます。

1:移植用のコケの苗(移植面積分)

  • 仮根が保持されており、茎葉体が10×10cm辺り600本以上(目安)の良質な苗。
  • コロニーが良質である方が、地中の蒸発する水分を保持しやすく、乾燥しづらい利点もあります。

2:下播き用の苔の種(2ℓ/㎡×移植面積分)

  • 良質な苗から刈り取られた種。

3:赤玉土小粒(7 ℓ/㎡×移植面積分)

  • 赤玉土は、大・中・小など様々な大きさで販売されていますが、小さな粒の方が水分の保有率も良く、また泥状に細かくもしやすいです。
  • 黒ボク土を混ぜ込むか、下に敷くことも有効かもしれないので、この辺りは検証の余地があります。

準備する道具

苔を貼るために必要な道具も揃えていきます。

1:スコップ(大、小)

移植部分の基盤土を掘るために必要です。

スコップの大小は、移植する場所の広さによっても使い分けます。

今回は、面積が狭いことと、下草など植栽があって細かい作業が必要なため小さめのスコップのみで行います。

2:土嚢袋

基盤土を掘った際に出た土を回収するために必要な袋です。

土は一般ゴミでは出せないため、自治体に相談するか、資源循環推進課に相談する、不用品回収業者に依頼する、ホームセンターの回収サービスを利用する(島忠など一部に限る、またその店で購入した土でないといけない場合がある)、フリマなどで売るなど何らかの方法で処分する必要があります。

3:水道水(ホース、散水ノズル)

堀った移植部分に散水して基盤土を柔らかくするために水を使用します。

また、基盤土を泥状にする、もしくは泥状にならない場合は、水を入れたバケツに赤玉土小粒を加え、撹拌機等で泥状にしたものを散布するので水が必要です。

4:撹拌機

赤玉土を泥状にするために使用します。

かき混ぜ棒や手でかき混ぜても良いのですが、きめ細かくしにくいことや均一にできないこと、時間や労力がかかることなどデメリットも多いです。

そのため、撹拌機があればよりスムーズに作業を行うことができます。

5:計量カップ

赤玉土や苔の種などを必要量量るために使用します。

6:平らな板

苔の苗を乗せて、移植先の掘った部分に運び、移植するために使用します。

ベニヤ板など固く平らな物のほうが、苗を崩さずに乗せやすいです。

今回は育苗箱の裏面を使用することにします。

7:スクレーパー

移植先に植栽や石などがある場合、苔苗をカットして形を合わせる必要があります。

そういった際に、苗を千切ったり雑に扱うと、移植した際に隙間を生じたり、仮根の傷みに繋がるためなるべくきれいにカットするために使用します。

実際にウマスギゴケを貼り替えてみる

準備が整ったところで、実際にウマスギゴケの苗を庭に移植していきます。

今回は冬期(2023.1.13実施)で良い苗が入手できないこともあり、テスト的に30×45㎝/枚のウマスギゴケを計2枚を仕入れて貼り替えていきます。

全体の貼り替えは、4月頃に行う予定です。

手順1:泥土(赤玉土 小粒)をつくる

まず、赤玉土(小粒)に水を加えて泥土をつくっていきます。

今回は、撹拌機を準備できなかったため料理に使用するようなかき混ぜ棒を使用しました。

本来は、もう少し細かく泥化した方が良いですが、かき混ぜ棒では難しかったので少々粗目の泥土です。

手順2:古い苔を取り、基盤土を掘ったのち、水をかけて土を柔らかくする

古い苔を取り、基盤土を掘り下げます。その際、玉砂利など、作業の邪魔になるものは退けておきます。

掘る深さは、5㎝程を目安とします。

これは、苗についている培土が埋まり、茎葉体が出ている程度の深さです。仮根層が土中5㎝辺りで成長することなども考慮すると、このくらい掘る必要があります。

やや掘る深さが浅く、5㎝無かったかもしれません。もう少し掘り下げても良さそうです。

基盤土を掘ったら、散水して土を柔らかくしておきます。

手順3:泥土を塗っていく

先ほど、手順1で泥化した土を、基盤土へ散布していきます。

今回の泥土の厚みは1~2㎝程度で塗りましたが、下が真砂土のため、もう少し泥層の厚みを作っても良かったかもしれません。

手順4:苔の種を播く

次に苔の種を播いてきます。

今回は、苔苗2枚分(2,700㎠)なので、計量カップで500ml程度の種を量り、泥土の上にパラパラと播きます。

今回は、ウマスギゴケ単種の種しか入手できなかったので、それを使用します。

その環境に適した苔を生やすことが目的なのであれば、色々な種類の苔の種がミックスされたものを播く方が育つ確率が高まります。

手順5:新しい苗を貼り、手で上から押すように圧着させ、側面は土で囲う

ウマスギゴケの苗を移植していきます。

平らな板に苗を乗せ、底に水をかけて滑りを良くしておいて、移植場所へ並べていきます。

苗を基盤土へ移植したら、手やスコップ等で圧着させていきます。

苗の四方や真ん中をしっかり抑え、泥土、基盤土との融着を強めます。

苔の苗についている土(仮根部)を泥土に完全に密着させることが重要になります。

苔シートを複数枚貼る際には、苗と苗の隙間、石や角などとの隙間は、なるべく狭くした方が良いです。

隙間が大きいと、そこから乾燥が進み、仮根が傷んだり、圧着が剥がれたりしやすくなります。

側面も仮根が露出しないよう、土で覆います。

手順6:泥を落とすため、水をかける

最後に散水して苔表面の土を流します。

ホースでは水圧が強く、水量も多くなりがちなので、必ず散水ノズルまたはジョウロで行います。

土が表面についていると成長を阻害してしまう可能性があります。

これで作業が完了したので、玉砂利などは元に戻します。

今後、乾燥しないよう散水をしっかりと行い、来春の全体的な貼り替えに向けて経過観察を行っていきたいと思います。

特に貼り替えたばかりのときは、水やりを怠らずにたっぷりと行い定着させます。

上手く移植が出来ていれば、1~2ヶ月程で定着してくるはずです。

また、冬時期は霜柱ができないように注意する必要があります。

雪が振ったり、寒い地域では敷き藁をしたり、不織布や寒冷紗(かんれいしゃ)を被せたりして対策をする必要があります。

まとめ

今回は、テスト的に一部の苔を自分で貼り替えてみました。

また春になれば、全体の貼り替えも行ってアップしていきたいと思います。

自宅の庭にどういった対策をすればウマスギゴケが定着してくれるのか、そもそも環境が合っていないのか、まだまだ試行錯誤している段階です。

これからも少しずつ改善策を練りながら、美しい庭を目指していきたいと思います。

苔庭の定番、ウマスギゴケを自宅に貼りたいという方の参考になれば幸いです。

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